生き返った後、絵に吸い込まれる時間
今日は予定通り息子をベビーシッターさんの所へ預けました。
息子を迎えに行くまでの、夫と2人だけの時間は、驚く程速く過ぎていきました。
久しぶりの夫との日常会話は、育児の苦労話などをしながらとっても弾み、予定していたよりも絵は描けず。
でも、育児中心の生活からひと時離れて、何にも邪魔されずに、ゆっくりご飯が食べられる、おしゃべりができる、必要な時に家事をし、好きな時にトイレにも行ける。
そんな当たり前のことが、当たり前にできました。
たったそれだけで、やっと自分を取り戻し、普通の人間に戻れたような、生き返った思いです。
息子のことはもちろん心から愛しています。
けれども誰の助けも借りずに毎日育児を続けることは、自分の欲求を抑え、ある意味自分を犠牲にすることの連続で、必要以上に消耗していきます。
それが、離れてみて初めて、よく分かりました。
この感じは、経験してみないとわからない感覚。
たまには育児と離れ、自分の心と体が発した欲求にその場ですぐに答えてあげられる、そんな当たり前の時間が絶対に必要だと痛感しました。
息子のいない間の8時間。
あっという間でしたが本当に落ち着きを取り戻すことができました。
夕方迎えにいった後、息子を寝かしつけ、夫は用事のために外出。
それから、独りの時間。
………
とても静か。
白い紙を目の前に、鉛筆を手に取り、感じるままに手を動かす。
なんて穏やかな時間。
小説のストーリー通り、寝ている設定ではありますが、力強いドラゴンの姿を描くつもりでした。
けれども今の気持ちが出てしまい、なんだか柔らかいタッチの穏やかなドラゴンの姿。
私が描き進めるドラゴンは、詳細な姿を現すにつれ、次第に私をそこへ引き込んでいきました。
すると絵の中のドラゴンと、私と、部屋の中の空気まで、全てのエネルギーが穏やかに同調しているような、とても気持ちの良い感覚。
絵の中のドラゴンと、本当に今一緒に休んでいるような気がしました。
そこに負の感情が湧いて来る気配はなく、時間は止まり、どこまでも穏やか。
今まで色々絵を描いてきたけれど、こんなにも穏やかで、しかも絵の世界と自分のいる場所の境界がない感覚で絵を描けたのは、初めてでした。
今日だけかな。
それともこれからずっとこんな風に描いていけるだろうか。
そうだったら一日中でも描き続けられる。
育児とたった8時間離れただけで、私の中で、何かが大きく変わりました。

〈 11/28 本日のミニアート 〉
タイトル:小説の挿絵「眠るドラゴン」 (Chapter Header Art ‘Sleeping Dragon’)